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春日部市の社会保険労務士田口裕貴事務所〜労務管理・就業規則・給与計算・労働保険・社会保険・障害年金〜 対応地域:春日部市・越谷市・松伏町・杉戸町・宮代町ほか埼玉県全域、関東近郊

TEL. 070-5077-5484

〒344-0064 埼玉県春日部市南3−14−4−305

障害年金特設ページ 〜障害年金とは何か?〜

年金は「歳をとったときのもの」だけではありません
一定の障害状態となった場合にも支給されます
それが、「障害年金」です

 障害年金とは、一定の障害状態に該当することとなった場合に「国の保険制度」である国民年金・厚生年金などから支給される年金であり、一定程度保険料を支払っている方が障害状態に該当した場合には、民間の保険と同様に「権利として」給付を受けることができます。障害年金は、うつ病や統合失調症・脳梗塞・人工透析・心臓疾患など、ほとんどの病気が支給対象となります。
 このページでは、主に基本的な障害年金制度の内容をご説明いたします。障害年金の請求をご検討されている方、障害年金の制度に興味をお持ちの方は、ぜひご一読いただければ思っています。

★初回相談は無料です★


【目次】
《障害年金とは何か?》
 障害年金制度とはどのようなものなのか、どういう場合に支給対象となるのか、支給額はどれくらいなのか、など、障害年金制度全体について説明しています。


《障害年金の支給額は?》
 障害年金は年間どれくらい支給されるものなのか、詳しくまとめています。


《傷病別の認定基準》
統合失調症における障害年金の認定基準

(その他の傷病については現在執筆途中です。今後内容を追加していきます。)

年金制度の概要と老齢年金・障害年金・遺族年金

 障害年金のご説明の前に、まずは年金制度の概要をご説明しなければなりません。(なお、ここでは国民年金法(以下「国年法」)の規定をベースに説明いたしますが、国民年金制度をベースにしている厚生年金や公務員共済についても、基本的な考え方は同じです。)
 そもそも年金制度とは、どのようなものなのでしょうか。それを考える手がかりとなるものが、国年法1条に「国民年金制度の目的」として規定されています。
 第1条 (国民年金制度の目的)
 国民年金制度は、日本国憲法第25条第2項に規定する理念に基き、老齢、障害又は死亡によって国民生活の安定がそこなわれることを国民の共同連帯によって防止し、もって健全な国民生活の維持及び向上に寄与することを目的とする。

 すなわち、国民年金制度は、1.生存権(憲法25条2項)の理念に基いて、2.老齢・障害・死亡という生活の安定がそこなわれる自体を防止するために、3.国民が連帯して制度をつくっていく、ということがかかげられているのです。

 さて、このうちのいくつかについて、詳しく見てみましょう。上記2.に対応するために、国年法2条では、次のような規定が置かれています。
 第2条 (国民年金の給付)
 国民年金は、前条の目的を達成するため、国民の老齢、障害又は死亡に関して必要な給付を行うものとする。

 すなわち、国民年金制度は、その制度の目的を達成するために、主に3つの給付を予定しているのです。その3つとは、老齢・障害・死亡なのです。この3つのことを、「保険事故」(保険を支払う事由に該当することを意味します)といったりします。
 年金制度というと、「歳をとったときのもの」すなわち「老齢年金」のイメージをお持ちの方が大変多いな、という印象があります。確かにそれは間違いではありませんが、年金制度はそれだけではありません。老齢年金以外にも、一定の障害状態になってしまった場合や、一家の大黒柱がお亡くなりになった場合にも、年金給付が行われるのです。この「一定の障害状態になってしまった場合」に支給される年金が、「障害年金」です。また、「一家の大黒柱がお亡くなりになった場合」に支給される年金は、「遺族年金」といいます。
 
(ですので、「老後に年金がもらえないだろうから保険料を払わない」というのは、「年金は老齢しかもらえない」という年金制度の中途半端な理解に基づくものであり、誤解をしたまま保険料を支払わないというのは非常にもったいないことです。制度の批判をするのであれば、少なくとも、障害や死亡のリスクに対する給付も考慮した上で行わなければなりません。)

 次に、第1条にいうところの「国民の共同連帯」についてを見てみましょう。ご存知のとおり、国民年金は、20歳以上の方々から保険料を徴収することを前提としています(国年法87条)。すなわち、「保険の制度」を使っているのです。ですから、保険料を支払っている人が、「保険事故」、すなわち、保険を支払う事由に該当した場合には、給付が受けられるものなのです。ですから、障害年金や死亡に対する遺族年金は、恩恵的な給付ではありません。保険料支払の対価として、保険料を払っている人の権利として、給付を受けることができる制度なのです。正当な権利があるにもかかわらず障害年金や遺族年金を受給していないのは、「老齢年金の受給を放棄している」のと同じです。
 保険の制度を使っている点は、民間の保険会社の保険と変わりありません。ですが、国民年金は「国の制度」ですから、民間の保険会社で行う保険よりも、給付内容がはるかに有利なものとなっています。それは、国民年金の支給については、半分が税金でまかなわれているためです(国年法85条1項1号)。なので、保険料を支払っている人の権利を明確に保障しつつ、国からのプラスアルファの補償が受けられるという制度であるともいえます。ですから、「国民の共同連帯」という点が強調されるのです。
 (このようなことを考えると、「民間の保険に入っているから年金の保険料は払わない」というのは、払っている税金を捨てているようなものであり、大変もったいないことです。また、民間の保険は、国が行う年金や健康保険などいわゆる「公保険」に加入していることを前提に、その上乗せをするような給付を行っている場合がほとんどです。ですから、年金制度の批判を行う場合には、やはり、こうした点も踏まえて検討を行わなければなりません。)


では、障害年金とは何か?

 ここまでのご説明で、年金制度は「歳をとったときのためだけのものではない」ということがご理解いただけたかと思います。では、「障害」の状態になってしまった場合に支給される「年金」、すなわち「障害年金」とは、具体的にはどのようなものなのでしょうか。

 障害年金とは、一定の障害状態になってしまった場合に、その方の生活を保障するために支給される年金であり、日常生活を送ることも困難な方の生活の糧となるものです。ここでいう障害状態には、手や足、眼、耳などの身体障害は当然含まれますが、糖尿病やがん、うつ病や統合失調症などの精神障害、発達障害など、長期にわたって療養が必要となり、日常生活や仕事に制限を受ける場合も含まれます。障害年金については身体障害しか受給できないと勘違いをなさっている方もたくさんいらっしゃると思いますが、そうではありません。精神障害なども、状態によっては障害年金の支給対象になります。

 ただ、問題は、障害年金は「申請しなければ支給されないもの」であるということです。老齢年金でしたら、国が年金加入者の年齢を把握しているため、「申請してください」というご案内を送ることができます。しかし、障害年金については、年金加入者が障害状態に該当していることを国が把握できないため、国から積極的に支給申請の案内などは送られてくることはありません。そのため、申請をし忘れてしまい、今まで支給を受けていなかったというケースが、非常に多くあります。また、申請をするための提出書類は非常にたくさんあり、ご自身で申請することを途中で諦めてしまうケースも見受けられます。こうしたことは、非常にもったいないことです。本来支給を受けることは「権利」です。保険料をしっかり払っているのに支給を受けられないのは、保険料の払い損です(そうしたこともあって年金制度の風当たりが強くなっている側面も否定できません)。
 こういった場合は、権利としての障害年金の支給を適正に受けられるように、専門家にご相談なさることを強くお勧めします。


障害年金のメリットとは

 障害年金の最大のメリットは、資産や所得があっても、原則として支給を受けることができる点にあります。障害年金は「保険の給付」ですから、その支給の条件に該当する限り、資産を保有していても支給が止められるということはありません。これは、同じく生存権を保障した制度である生活保護と、大きく異なる点です。
 生活保護制度については、資産や収入がある場合には支給の対象となりません(これを「捕捉性の原則」といいます)。このようになっているのは、生活保護が最後のセーフティネットとなっているからといえます。資産や能力など、その人が持っているありとあらゆるものをすべて活用し、それでもなお最低限度の生活を送ることができない場合に支給が行われるものだからです。
 なお、障害年金を受給してもなお最低限度の生活を送ることができない場合には、その不足額が生活保護から支給されます。ですから、まずは障害年金の申請を行うことが必要となってくるのです。


障害年金には、いくつか種類があります

 これまで「障害年金」という言葉を非常にたくさん使っていますが、実は障害年金にはいくつかの種類が存在します。
 まず、加入している(公的)年金制度によって、障害基礎年金・障害厚生年金・障害共済年金の3種類にわけることができます。障害状態の原因となる病気やケガによって最初に病院に行った日(これを「初診日」といいます)に、どのような保険制度に加入していたかによって、どの障害年金に該当するのかが決まります。

【障害基礎年金とは】
 障害基礎年金とは、国民年金の加入者に支給される障害年金です
 主に、自営業者や専業主婦(夫)、学生などが対象となります

【障害厚生年金とは】
 障害厚生年金とは、厚生年金の加入者に支給される障害年金です
 主に、会社勤めをしているサラリーマンやOLさんなどが対象となります

【障害共済年金とは】
 障害共済年金とは、共済年金の加入者に支給される障害年金です
 主に、公務員の方や学校の教職員の方が対象となります

 また、障害年金は、障害状態の重さによって支給内容が異なってきます。
 障害年金の額は「障害等級」というもので決定されます。障害等級は障害状態の重さを表すものであり、重い順から1級・2級・3級とされます。そして、加入していた制度によって異なる障害年金の種類ごとに、障害年金の支給対象となる障害等級が決まっており、原則としては次のようになっています。

【障害基礎年金の場合】
障害等級が1級または2級の場合に支給されます

【障害厚生年金・障害共済年金の場合】
障害等級が1級、2級または3級の場合に支給されます
また、障害等級3級よりも軽い障害状態であった場合には、一時金として「障害手当金」が支給されます
※障害手当金はあくまで「一時金」であり、1回限りの支給です。年金ではありません。


 この年金制度における障害等級ですが、身体障害者手帳や精神障害者手帳の等級とは異なります。障害年金制度の障害等級については、障害年金制度独自のものが規定されています。ですから、手帳の等級と年金の等級が100パーセント同じになるとは限りません。ですが、有力な判断材料になるとはいえるでしょう。

 なお、年金制度における障害等級の目安は、次のようになっています。
1級:他人の介助を受けなければほとんど日常生活を送ることができない状態
2級:必ずしも他人の助けを借りる必要はないが、日常生活が困難で労働することができない状態
3級:労働が著しい制限を受けるか、労働に著しい制限を加えることを必要とする状態


障害年金を受給するための3つの要件について

 障害年金を受給するためには、1.初診日要件 2.障害認定日要件 3.保険料納付要件 という3つの要件すべてを満たさなければなりません。この3つの要件をすべて満たさなければ、障害年金は支給されません。では、それぞれの要件の中身を見ていきましょう。

【1.初診日要件とは】
 初診日要件とは、障害の原因となった病気やケガによって最初に病院に行った日(これを「初診日」といいます)において、年金制度の加入者(これを「被保険者」といいます)であったことが必要だというものです。年金制度も「保険」ですから、加入者以外には支給しないのは当然です。もっとも、現在の法制度においては、20歳以上であれば国民年金や厚生年金など、いずれかの(公的)年金制度には強制的に加入していることとなっているので、この要件満たすこと自体は可能といえます。ですが問題は、「初診日においてどの制度に加入していたのか」ということです。国民年金に加入していた場合には支給を受けられないが、厚生年金に加入していた場合には支給を受けられる、などといったことがありますので、特に注意が必要です。
 なお、初診日が20歳未満のときや、60歳から65歳までの間にあるときであっても、初診日要件を満たすことができます。20歳未満であれば(会社などに勤めて厚生年金に加入しない限り)年金制度に加入することができませんが、それによって障害年金の支給を受けられないとするのは非常に酷なものであるので、障害年金の支給を受けて生活していくことができるようにしているのです。また、60歳から65歳の方についても、原則的には国民年金の保険料を納め終わっている時期で被保険者ではない扱いとなりますが、その間に障害状態になってしまったからといって何も給付がなされないのでは生活に困ってしまいます。そうした意味合いから、これらの方々にも障害年金が受給できるように制度設計されているのです。これは、年金制度という「保険」が国によって運営されているため、できることです。もっとも、初診日が20歳未満のときの障害年金については、「保険給付」という意味合いが薄いため、相当程度の所得がある人については、支給がなされないなどの特例があります。

【2.障害認定日要件とは】
 障害認定日要件とは、障害認定日において、それぞれの障害年金制度の対象となる障害等級(国民年金の障害基礎年金ならば1級または2級、厚生年金〔共済年金〕の障害厚生〔共済〕年金ならば1級・2級または3級)に該当していることが必要だというものです。

 障害認定日とは、原則として、初診日から1年6ヶ月を経過した日、またはそれ以前に治った日のことをいうものとされています。ここでいう「治った」とは、症状が固定化し治療の必要性がなくなったことをいい、必ずしも病気やケガによって障害状態となる前の状態に戻ったことまでは必要とされるものではありません。

【3.保険料納付要件とは】
 保険料納付要件とは、初診日の前日において、初診日の属する月の前々月までの被保険者としての期間のうち、3分の2以上について保険料が納められていること、または所定の手続に従って保険料の免除を受けていることが必要だというものです。ただし特例措置として、65歳未満の者に限り、初診日の属する月の前々月までの直近1年間に保険料の滞納がなければ、この要件を満たすものとされます(平成38年3月までの特例措置)。

 これは、保険料をちゃんと納めていたかどうかをチェックするための要件であり、保険料をちゃんと納めていれば障害年金を支給するが、そうではない(保険料を納めていない)のであれば、障害年金を支給しないというものです。年金制度も保険です。保険である以上、保険料を納めていなければ給付は受けられません(なお、適正な手続に従って保険料を「免除」されている場合には、「未納」ではありませんから、障害年金が支給されるということになります)。
 もっとも、年金制度は国の制度でもあります。ですから、100パーセントすべての保険料を納めていなければならないというようにはしておらず、なるべく給付を受けられるようにしてあるのです。とはいえ、保険料を納めていない期間が長いのに給付を受けられるとすると、保険料をちゃんと払っていた人からすると不公平です。ですから、「3分の2以上」の期間について保険料を納めていることを判断基準としているのです。


障害年金の支給額は、いくらなのか? (平成29年5月1日現在)

 障害基礎年金、障害厚生年金の支給額は、社会全体の物価の変動や賃金の変動によって、毎年見直されます。平成27年度の金額は、次のとおりです。
 なお、障害基礎年金を受けられる方については、お子さんの人数に応じて支給額の加算がなされます。また、1級及び2級の障害厚生年金を受けられる方については、配偶者の加給年金額が加算されるほか、障害厚生年金と併せて障害基礎年金も受けられます(年金制度は「2階建て」の制度であるため、2階部分に相当する障害厚生年金が受けられるのであれば、1階部分に相当する障害基礎年金も受けられるということです)。ただし、3級の障害厚生年金については、厚生年金独自の制度であるため、障害基礎年金との併給はできません(障害基礎年金については、障害等級3級の場合には、支給対象とならないため)。

【障害基礎年金の支給額】
障害等級1級の場合:779,300円×1.25+子の加算
障害等級2級の場合:779,300円+子の加算

〔子の加算の額〕
第1子及び第2子:それぞれ224,300円
第3子以降:それぞれ74,800円
※加算の対象となる子とは、次の者に限られます
・18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していない子(一般的には、高校卒業までの子)
・20歳未満で障害等級1級または2級に該当する子

【障害厚生年金の支給額】
障害等級1級の場合:
(報酬比例の年金額)×1.25+〔配偶者の加給年金額(224,300円)〕
障害等級2級の場合:
(報酬比例の年金額)+〔配偶者の加給年金額(224,300円)〕
障害等級3級の場合:
(報酬比例の年金額)※最低補償額584,500円
〔報酬比例の年金額の計算方法〕
報酬比例の年金額は、原則として次の計算式によって算定します
(平均標準報酬月額)×7.5/1000×(平成15年3月までの被保険者期間の月数)+
(平均標準報酬額)×5.481/1000×(平成15年4月以後の被保険者期間の月数)
※被保険者期間が300月(25年)未満の場合には、300月とみなして計算します。
※「平均標準報酬月額」「平均標準報酬額」とは、平たく言うと、毎月のお給料の平均額のことです。
・平成15年3月までの「平均標準報酬月額」は、給与のみの平均額です
・平成15年4月以後の「平均標準報酬額」は、給与+賞与の平均額です


請求時期の違いによる障害年金の種類

 障害年金は、請求する時期によって、いつから支給できるのか、さかのぼって支給されるのか、そもそも請求手続をすることができるのか(年齢による制限)など、いくつかの種類が存在します。

【障害認定日請求(原則的なもの)】
 初診日から1年6ヶ月を経過した日、またはそれ以前の「治った」日に障害の程度が障害等級に該当しているならば、その日以降いつでも(65歳を過ぎていたとしても)請求手続をすることができます。
 障害年金の支給については、障害認定日の翌月分から行われます。

【遡及(そきゅう)請求】
 遡及(そきゅう)とは、「さかのぼる」という意味です。障害年金の請求時期が障害認定日から大幅に遅れたとしても、最大5年分はさかのぼって支給を受けることができます。ただし、遡及請求を行うためには、障害認定日における障害の状態をしっかりと証明できなければなりません。

【事後重症請求】
 障害認定日には障害等級に該当しない程度の障害状態であったが、その後状態が進行ないし悪化するなどして、障害等級に該当することとなった場合には、障害等級に該当することとなった時から障害年金の請求ができます。
 事後重症による障害年金の請求は、65歳に達する日の前日までしか行うことができません。ですので、早めの請求が必要といえます。
 また、事後重症による障害年金の請求を行った場合は、障害年金は請求手続を行った日の翌月分からのみ支給されます。事後重症については、さかのぼって支給されるということはありません。ですから、やはり、しっかりとした書類が準備でき次第、早めに請求したほうが良いということができます。

【基準障害による障害年金の請求〔いわゆる「はじめて2級該当の請求」〕】
 すでに障害等級に該当しない障害(3級以下の障害)の状態にある人が、新たな傷病によりさらに障害を負った場合、前後の障害を併合してはじめて2級に該当する場合に、請求することができます。
 この場合、併合してはじめて2級に該当するに至った時が65歳未満であったならば、請求自体は65歳を超えてから行っても構わないこととされています。
 基準障害による障害年金は、受給権の発生は併合により2級に該当するに至った時からとされますが、実際に障害年金の支給がなされるのは、請求手続を行った日の翌月分からです。

【20歳前障害による請求】
 初診日が20歳より前にある場合(先天的傷害を含む)で、初診日の当時どの年金制度にも加入していなかった場合には、20歳に達したときに障害等級1級または2級に該当していれば、国民年金から障害基礎年金が支給されます。20歳前障害による請求の場合、障害認定日は20歳到達時とされ、その時点の障害の状態が基準となり支給の可否が決定します。
 20歳前障害による請求が遅れた場合であっても、遡及請求は可能であり、最大5年分はさかのぼって支給を受けることができます。ただし、20歳到達時の障害の状態を証明する必要があります。
 なお、20歳前障害による障害基礎年金は、本来の障害基礎年金とは異なり、相当程度の所得がある場合には一部または全部の支給が停止となります。ですが、所得が減少した場合には、再び支給を受けることは可能です(障害基礎年金を受給する権利自体が消滅するわけではないため)。なお、資産の保有については、支給停止とは無関係です。あくまで前年の所得がどうであったかによって判断されます。

 以上のことは、あくまで原則的なことがらです。これらに当てはまらない場合でも、障害年金の支給を受けることができる場合はあります。


障害年金請求の必要書類

 障害年金の請求をするにあたって必要となる書類は、主に次の5つです。

1.受診状況等説明書
2.診断書
3.病歴(就労状況等)申立書
4.年金請求書
5.添付書類(戸籍謄本、住民票、所得証明書など)


 では、それぞれについて、詳しく見てみましょう。

【1.受診状況等証明書】
 初診日を証明するための書類です。診断書を作成する医療機関が初診日における医療機関と異なる場合、初診日における医療機関で取得します。

【2.診断書】
 障害年金を請求する場合には、専用の診断書に記載がなされている必要があります。障害年金の請求に使用されている診断書は、障害の種類によって次の8種類に分かれています。
・目の障害用
・聴覚、鼻腔機能、平衡機能、そしゃく・嚥下機能、言語機能の障害用
・肢体の障害用
・精神の障害用
・呼吸器疾患の障害用
・循環器疾患の障害用
・腎疾患、肝疾患、糖尿病の障害用
・血液・造血器、その他の障害用
 なお、一つの傷病でも2種類以上の診断書を使用する場合もあります。

【3.病歴(就労状況)申立書】
 この申立書には2種類あり、請求者が記載していきます。
a)障害厚生年金の裁定請求:病歴・就労状況等申立書
b)障害基礎年金(報酬比例がないもの)の裁定請求:病歴状況申立書

 この申立書は、障害年金の支給を決定するための審査において、病状の経過や日常生活の状況を把握するための重要な資料となります。ですから、しっかりと記載する必要があります。

【4.年金請求書】
 請求者の氏名・住所・配偶者や子の有無など、請求にあたっての基本的な事項を記入します。
a)障害厚生年金(障害手当金を含む)の請求の場合:様式第104号(紫色の用紙)
b)障害基礎年金の請求の場合:様式第107号(薄桃色の用紙) を、それぞれ使用します。

【5.添付書類(戸籍謄本、住民票、所得証明書など)】
 配偶者の加給年金や子の加算を請求するために、扶養者の状況に応じて必要となります。


障害年金の請求にあたっての注意点

 障害年金を請求するにあたっては、特に次の点に注意が必要です。

【1.初診日はいつなのか】
 障害年金を請求するためには、まず、初診日がいつであるか、正確なものを確定させなければなりません。また、初診日に加入していた年金制度によって、支給される障害年金の金額は変わってきます。ですから、初診日がいつなのかをしっかりと調べることは、非常に重要となります。

 転院などによって診断書を作成する医療機関が初診日の医療機関と異なる場合は、「受診状況等証明書」を取得しなければなりません。この受診状況等証明書は、カルテに基づいて作成されますが、カルテの(義務的な)保存期間は、5年間とされています(医師法24条2項)。そのため、初診日から5年以上が経過している場合には、カルテが処分されていて証明書の取得が困難となる場合もあります。こうした場合には、「受診状況等証明書が添付できない理由書」を提出しますが、そこには受診状況等が確認できる次のような参考資料を添付しなければなりません。
・労災の事故証明書
・交通事故証明書
・身体障害者手帳申請時の診断書
・健康保険の療養給付記録
・勤務先の定期健康診断の記録
・インフォームド・コンセントによる医療情報サマリー など

 もっとも、カルテは保存期間を経過していても保管してあるという例もあります。近年では電子化によって長期保存も可能となってきています。ですから、カルテの保存期間がすぎているからといって、諦めずに、医療機関や担当の医師に確認をすることが大切です。

【2.診断書の内容は適正か】
 障害年金の請求に対する支給可否の認定は、書類による審査によって行われます。ですから、提出する書類に間違いがないかどうか、しっかりと確認しなければなりません。
 特に診断書の記載内容は、障害年金の支給を受けることができるか否かの判断に、極めて重要な影響を与えます。診断書の内容によって障害等級が決定されるといっても過言ではありません。ですから、診断書の記載内容が適正なものとなるよう、申請者様の日常生活の状況などを、担当の医師ににしっかりと伝えていかなければなりません。また、担当の医師からいただいた診断書の内容にしっかりと目を通し、確認した上で、万が一不備があるようであれば、しっかりと説明をして訂正していただくようにお願いする必要があります。

 なお、請求内容と、それに伴って必要となる診断書は、次のとおりです。

  障害認定日請求の場合:障害認定日以後3ヶ月以内の現症の診断書1枚

障害認定日請求(遡及請求):障害認定日以後3ヶ月以内の現症の診断書1枚と、裁定請求日以前3ヶ月以内の現症の診断書1枚

事後重症請求:裁定請求日以前3ヶ月以内の現症の診断書1枚

基準障害による請求(いわゆる「はじめて2級」請求):先発障害及び基準障害(後発障害)についての裁定請求日以前3ヶ月以内の現症の診断書をそれぞれ1枚

20歳前障害の請求:20歳到達日前後3ヶ月以内の現症の診断書1枚

20歳前障害の請求(遡及請求):20歳到達日前後3ヶ月の現症の診断書1枚と、裁定請求日以前3ヶ月以内の現症の診断書1枚

【3.病歴(就労状況等)申立書の記載は十分か】
 病歴(就労状況等)申立書は、医師の診断書だけではわからない日常生活の状況や就労状況を申告するものです。これは、申請者本人が記載するものであり、どのような状況であるのかを、本人として、障害年金の審査担当者に伝えることができる非常に重要な書類です。
 担当の医師からいただいた診断書と整合性を保ちつつ、自らの思いをしっかりと記載し、審査担当者に積極的に伝えることが必要です。

これらのことに注意しつつ、障害年金の請求を進めていかなければなりません。


おわりに

 このページでは、障害年金制度の概略について説明させていただきました。ですが、あくまで一般的な事項を概略的に記載したにすぎず、実際の請求手続にあたっては、このページに記載していること以外にも非常に多くの例外事項が存在します。個別の事情によって、どのように請求するべきか、方法は全く異なってきます。
 ですので、障害年金の請求をご検討されている方は、ぜひ一度、当事務所までご連絡ください。専門の社会保険労務士が、親身になってご相談に応じます。初回相談は無料です。秘密は厳守いたします。



参考となる資料・ホームページなど

厚生労働省ホームページ
http://www.mhlw.go.jp/

日本年金機構ホームページ
http://www.nenkin.go.jp/n/www/index.html

国民年金・厚生年金保険 障害認定基準
(日本年金機構ホームページ内)
http://www.nenkin.go.jp/n/www/service/detail.jsp?id=6761

公的年金制度の概要
(厚生労働省ホームページ内)
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/nenkin/nenkin/zaisei01/index.html

年金に関するパンフレット一覧
(日本年金機構ホームページ内)
http://www.nenkin.go.jp/n/www/pamphlet/index.html

年金受給者(老齢年金・障害年金・遺族年金)に関する届出・手続
※年金支給請求に関する様式もここにあります
(日本年金機構ホームページ内)
http://www.nenkin.go.jp/n/www/sinsei/index4.html

社会保険労務士年金サポート会ホームページ
※埼玉県社会保険労務士会所属の有志の社会保険労務士が、障害年金の無料講演会・無料相談会を行っております。日程などは、ホームページに記載されています。
http://nenkinsupport.web.fc2.com/




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